外山幹夫『もう一つの維新史−−長崎・大村藩の場合−−』
- 作者: 外山幹夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/11
- メディア: ハードカバー
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この不快な気分は、スターリンによるソ連の粛清の歴史を読んでいるときに感じたことに似ている。人の心の中にある底知れぬ闇を見るようで、怖くなる。言葉をもてあそび、人の心をあやつる悪魔のような人間がいる。あるときは反「尊皇攘夷」、あるときは「反革命」が、自分の意に沿わぬ者を殲滅する大義名分とされる。「もう一つの維新史」は「もう一つの革命史」ともいえる。「正義」を持ちだして人を処断しようとする人間には気をつけないといけないのだなあ。自分の個人的な怨みをはらすのに「正義」を語る人間...本当に怖い。そして幕末・維新のときだけでなく、いつでも、こうしたことが起きるのではないかというところがさらに怖い。