- 作者: 須田桃子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (49件) を見る
科学者は科学的な事実の前に誠実かと思ったら、現実には科学の探求よりも保身に走る人もいる。人間は弱いものなんだなあ。もっとも、STAP細胞の存在に疑問を提起し、真相解明に努めたのも科学者たちであるから、誠実さは組織の前では消えても、科学者個人の中には生きているともいえる。その点で希望は消えたわけではないのだろう。
しかし、不思議なのは、自殺した笹井氏が小保方氏をなぜ、ここまで信頼、信用していたかということ。笹井氏に限らず、理研、ハーバード大学、早稲田大学などの第一級の科学者たちについても同じことがいえる。なぜ小保方氏を凄いと思ったのか。どこに才能を見たのか。よほどのプレゼン名人だったのだろうか。どこかに人間的な魅力があったのか。この点は最後まで謎として残った。なぜ、ここまで盲目的な信頼と賞賛を集めていたのか。論文は上手じゃなかったみたいだから、それ以外に何があったのだろう。
いずれにせよ、STAP細胞事件は、米ベル研究所の高温超電導研究論文をめぐるシェーン事件、韓国ソウル大学の黄兎錫教授のES細胞捏造事件と並ぶ世界三大不正事件のひとつとなってしまったわけだなあ。真相解明が曖昧で、自殺者まで出てしまうところが日本の科学界の特徴とされてしまうのだろうか。
- 作者: 須田桃子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/01/16
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (5件) を見る