米国の難民に見る「世界一幸福な国、ブータン」
ブータンといえば、国民総幸福量を指標とする「世界一幸福な国」というイメージがあり、自分もそうした目で見ていたが、Twitterを眺めていたら...
Countries with the most refugees in the US, 2008-2016
— ian bremmer (@ianbremmer) 2018年6月18日
1 Myanmar 147K
2 Iraq 137K
3 Bhutan 92K
4 Somalia 57K
5 DRC 44K
6 Iran 30K
7 Cuba 28K
8 Syria 18K
9 Eritrea 15K
10 Sudan 10K
(US News & World)
2008年から2016年までの間、米国に逃れた難民がどこの国から来たのか、というトップ10。1位がミャンマーで、14万7000人。ロヒンギャ族に対する迫害が世界的に問題になっているからなあ。2位がイラクで、13万7000人。スンニ派とシーア派の対立に、イスラム国の問題も加わり、内戦が長期化しているものなあ。
と、このあたりまでは納得だったのだが、次で、うん?。ブータン9万2000人。ソマリアを上回り、DRC(コンゴ民主共和国)の倍以上。イラン、キューバ、シリア、エリトリア、スーダンよりも多い。他の国は内戦だったり、治安が悪かったり、政府の圧政だったり、何となくイメージできるのだが、ブータン? あの「世界一幸福な国」?
で、「ブータン難民」で検索すると、すぐにウィキペディアが引っかかって...
ブータン難民とは、キラト族、タマン族、マガール、バフン、チェトリ、グルン族などを含む、ネパール語話者のブータン人、ローツァンパ(南部の住民)のこと。これらの難民は、 ジグミ・シンゲ・ワンチュク国王による民族浄化の結果、ブータンから迫害され、1990年代にネパール東部の難民キャンプへ収容された。ネパール政府とブータン政府は難民の帰還について合意に至らず、国連難民高等弁務官事務所 (以下、「UNHCR」という。) の援助のもとで、ブータン難民の多くは北アメリカ、オセアニア、ヨーロッパへ第三国定住した。
「民族浄化」などという恐ろしい言葉がある。結果、米国だけでなく、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、デンマーク、オランダなどにも逃れているんだ。国民幸福度、9割以上って、その一方で国民から除外している人々、分母から消去された民族がいるのか。何だか、このデータを見ていると、これまでのブータン観が変わってくる。