岩井俊二の「リップヴァンウィンクルの花嫁」

  黒木華は好きな女優さん。しかし、この映画は...。設定はSNSであったり、出会い系サイトであったり、現代風味。映像、語り口は、まさに岩井俊二監督の作品。岩井俊二の世界を熱愛する人には、この映画はたまらなく魅力があるのかもしれない。一方で、「花とアリス」は好きでも、そこまで岩井俊二ワールドの囚われ人でない向きには...、長い。ともあれ長い。

 繰り返しだけど、黒木華さん、好きなのですが、主人公は「無垢」というか、「初心(うぶ)」というか、単なる「世間知らず」「大きなこども」といったらいいのか。このキャラクターに感情移入できるかのどうかも映画に入り込めるかどうかの分かれ道になりそう。

 登場人物にリアリティを感じるのかどうか。そこも、この映画が好きか嫌いかが分かれるポイントになりそう。「最近はこういう人がいるのかもしれないね」と「ほんと、こういう人いるよね」の違いというか、頭で考えるリアリティか、体感的リアリティかーーそれによって映画に入り込めるかどうかが分かれてきそう。

 好き嫌いがはっきり分かれそうな映画。岩井俊二ワールドが好きな人は堪能し、そうでない人には「?」「?」「?」となりつつ、こういう映画が好きな人がいるんだろうなあ、と思ってしまう映画といったらいいのかもしれない。

花とアリス [Blu-ray]

花とアリス [Blu-ray]