「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督がチャン・ドンゴン、オダギリジョーで戦争秘話大作

ブラザーフッド」の姜帝圭(カン・ジェギュ)監督が、新作「マイウェイ」で7年ぶりに帰ってくる。「マイウェイ」は2004年に1174万人の観客動員で歴代興行順位3位に入った「ブラザーフッド」とさまざまな面で似ていた。まず戦争ブロックバスターという外観が同じで、主演俳優もチャン・ドンゴンそのままだ。 戦争の野蛮性とそれによる人間性喪失を明らかにしていく点はもちろんだ。変わったのは時代背景とスケールだ。「ブラザーフッド」は韓国戦争による兄弟の悲劇を描いた。「マイウェイ」は第2次世界大戦当時、関東軍に徴集され日本・中国・ドイツ3カ国の軍服を順に着なければならなかった朝鮮人青年の運命を取り上げた。さらに日本人青年との歳月と国籍を越えた友情を通じ韓日間の真の疎通と和解という大きなテーマにまで触れる計画だ。 制作費は261億ウォン、マーケティング費などを含めた総制作費は300億ウォン台に上る。韓国映画史上最高の制作費だ。チャン・ドンゴンオダギリジョーというアジアのスターをキャスティングし、韓日中3カ国同時公開の推進などで損益分岐点を一気に跳び越えようとする野心に満ちたプロジェクトだ。

ブラザーフッド スタンダード・エディション [DVD] チャン・ドンゴンオダギリジョーの顔合わせというのも魅力だが、それ以上にインパクトがあるのは、この日本・中国・ドイツの軍服を着た朝鮮人青年が実在したということ。「ノルマンディのコリアン」というドキュメンタリー番組にもなった「朝鮮人に生まれ、強制徴集されて日本・中国・ドイツの3カ国の軍服を順に着たあげくにノルマンディ海戦で米軍の捕虜になった男の実話」が映画のもとになっている。すごいストーリー。ただ、日本と中国まではわかっても、そこからどうしてドイツになるのかが、よくわからない。ともあれスケールの大きな話だし、日韓中同時公開というのも、これまたスケールが大きい。年末12月の公開らしいが、早くも期待。
【追記】ノルマンディで捕虜になったコリアン――ウソのようなホントの話
 ノルマンディのコリアン(韓国人/朝鮮人)の話、「World War 2 Talk」という第二次世界大戦に関するサイトに詳しく出ていた。それによると、ノルマンディ上陸作戦の際に、ドイツ軍の軍服を着た4人のコリアンが米軍の捕虜になった(捕虜となったコリアンの写真もサイトに掲載されている)。このコリアンたちは徴兵されて日本軍に入れられたのだが、ノモンハン戦争の際にソ連軍に捕らえられ、軍務につくことを強制される。さらにドイツ軍がソ連に侵入した際に、モスクワ近郊でドイツ軍の捕虜となり、今度はドイツ国防軍のために働かされるはめになる。そしてノルマンディで米軍の捕虜となる。日本・中国・ドイツではなくて、日本、ソ連、ドイツの軍服を着たわけで、それならば、理解できる。中国は変だと思った。それにしても、ユーラシア大陸を東の端から西の端まで横断したのか。しかも、ノモンハン、モスクワ攻防戦、ノルマンディ上陸作戦という歴史に残る大激戦のなかで猛攻を受ける側にいながら生き残った。まさに事実は小説より奇なり。すごい話だなあ。これは確かに映画になる。
Koreans in Normandy - World War 2 Talk => http://t.co/KAugOxN
ノモンハンの夏 (文春文庫) モスクワ攻防戦――20世紀を決した史上最大の戦闘 史上最大の作戦 (ハヤカワ文庫NF)