自民党・石原幹事長が「911同時テロは歴史の必然」。ハンチントンの生半可な受け売り?
自民党の石原幹事長は10日、青森県弘前市で講演し、発生から10年を迎える米中枢同時テロについて「産業革命から続いた西欧文明、キリスト教支配に対するイスラム圏の反逆で、歴史の必然として起きた出来事ではないか」と述べた。自身の歴史観を披露したものだが、テロを「必然」と表現したことは不適切との批判が出そうだ。
民主党も考えない人の失言・暴言ラッシュの政党だけど、自民党だって失言・暴言政党の元祖だから負けてはいない。911同時テロは、キリスト教とイスラムの対決の中での「歴史的必然」だと...。ということは、アフガニスタン戦争もイラク戦争もキリスト教十字軍で、日本はそちらに参加するという文脈での理解なのだろうか。石原さん、僕はハンチントンの『文明の衝突』もしっかり読んでいるインテリなんだよね、と言いたかったのだろうか。
しかし、911同時テロからちょうど10年たった今、イスラムによるキリスト教支配層に対するテロは歴史的必然だと、CNNやBBC、あるいは、アルジャジーラの前でも石原さんは主張をするのだろうか。文明の衝突で血が流れるのは必然だと。ニューヨーク、ロンドン、マドリード、ベルリンの人々の前で、そう語れるのだろうか。イスラム圏のカイロ、ジャカルタ、イスタンブールで同じように主張できるのだろうか。
この主張、アルカイダやイスラム原理主義、米国のティーパーティやキリスト教原理主義など対決を望む両極の人々は喜ぶだろうが、融和や和解を望む大多数のフツーの人々は眉をひそめるだろう。で、その歴史的必然の中で、キリスト教でもイスラムでもない石原さんはどちらの側に立つのか。日米同盟だからキリスト教?
しかし、どうして、こんなことを言う人ばかりが政治家の中枢なのだろう。これもまた、日本中枢の崩壊なのだろうか。官僚システムが壊れているのは政治システムが壊れているからで、その政治システムが壊れているのは、そういう政治家を選出した自分たちの責任なのだろうか。
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