リトル・ミス・サンシャイン

 評価の高かった映画だが、これは良かった。美少女コンテストに出る娘を一家がアルバカーキ(ニュー・メキシコ州)からカリフォルニアまで送っていくという、ただ、それだけの物語なのだが、これが面白い。とてつもなく、父、母、祖父、叔父、息子ひとりひとりがとてつもなく悲惨な事情を抱えた一家なのだが、話は面白く、そして暖かい。「勝ち組」「負け組」意識が強烈な米国社会で、しかも、その究極の米国的イベントとも言えるミスコンを中心に置きながら、やさしく美しく、心が温かくなる映画。娘役の少女、アビゲイル・ブレスリンはもちろん、父親役のグレッグ・キニア、母親役のトニ・コレット、ゲイで失恋して鬱病の叔父さん役のスティーヴ・カレル、兄役のポール・ダノ(このキャラクターが良い!)、そして、コカイン中毒でハチャメチャな祖父、アラン・アーキン(アカデミー助演男優賞を取ったのがわかる)。
 この映画、俳優が揃っていることもあるが、それにも増して、マイケル・アーントの脚本が出色。こちらもアカデミー脚本賞をとっているが、家族ひとりひとりの造形、ストーリーの伏線の張り方など、良くできているし、無駄がない。次の脚本が楽しみなのだが、IMDbを見ると、2010年公開の「Toy Story 3」が予定されているだけ。この映画は初めての脚本みたいだし、それでオスカーをとってしまうと、逆にプレッシャーがかかって書けなくなってしまうのだろうか。
【参考】
・オフィシャルサイト
 http://movies.foxjapan.com/lms/index2.html
ウィキノミクスで見ると
 wikipedia:リトル・ミス・サンシャイン