フィリップ・トレティアック「ウォーホルのアメリカ」

ウォーホルのアメリカ (美の再発見シリーズ)

ウォーホルのアメリカ (美の再発見シリーズ)

 アンディ・ウォーホルの短い評伝と代表的作品を集めた本。ウォーホルと言えば、表紙にもなっているマリリン・モンローシルクスクリーンキャンベルスープの絵をすぐに思い出すが、評伝を読むと、この大変な商売人でもあったアーティストは、大量消費社会、暴力、セックスといった米国文化を描き出した人なのだと思う。マリリン・モンローも、エルヴィス・プレスリーも、ジャクリーン・ケネディも、時代の肖像であり、大量消費社会が生み出した(そして、丸メディアがイメージを増幅した)ヒーロー/ヒロインであったのだと思う。そうした意味で言うと、かなり毀誉褒貶があり、胡散臭い面もあったものの、やはりウォーホルは芸術家だったんだなあ。