吉川武男「バランス・スコアカードの知識」

バランス・スコアカードの知識 (日経文庫)

バランス・スコアカードの知識 (日経文庫)

 バランス・スコアカード。名前はよく聞くんだけど、何だかわからなかったので、お勉強。読んでみると、会社を生態系として捉えるツールというか、ビジネスの世界に合わせてパターン化したマインドマップという感じ。で、バランス・スコアカードの基本的な視点というのは、以下の4つ。

(1)財務の視点
(2)顧客の視点
(3)業務プロセスの視点
(4)人材と変革の視点

 で、バランス・スコアカード構築のためのステップは7つ。

 第1ステップ:ビジョンと戦略の策定
 第2ステップ:戦略をとおしてビジョンを実現する視点の洗い出し
 第3ステップ:戦略マップの作成と戦略目標の設定
 第4ステップ:設定した戦略目標に対する需要成功要因の洗い出し
 第5ステップ:洗い出した重要成功要因に対する業界評価指標の設定
 第6ステップ:設定した業績評価指標に対するターゲット(数値目標)の設定
 第7ステップ:設定したターゲット(数値目標)を実現する戦略プログラムないしアクション・プラン(実行計画)の作成

 ロジカルだなあ。ビジョンと戦略は、SWOT分析なんかを使って詰めていく。で、バランス・スコアカードの効果は8つにまとめられている。

 (1)ビジョンと戦略を明確ないし再構築し、これを経営トップから従業員ないし社員や職員一人ひとりに至るまで周知徹底させ、将来の競争優位を獲得し、ビジョンを戦略をとおして実現することができます。
 (2)戦略をとおしてビジョンの実現に向け、戦略志向の企業組織や行政組織、あるいは病院組織をつくり、企業経営や行政や病院経営などにおけるナビゲーターないしはドライビングフォース(牽引車)の役割を果たします。
 (3)全従業員ないしは社員や職員が一丸となって全員参加の企業経営や行政や病院経営などをつくり、戦略をとおしてビジョンを実現するために、果敢に挑戦することができます。
 (4)従業員ないし社員や職員一人ひとりの責任と権限を明確にし、合理的な企業経営や行政や病院経営を行うことができます。
 (5)事業計画や予算をビジョンや戦略にリンクさせることができます。
 (6)戦略をとおしてビジョンを実現するために、既存の経営管理プロジェクトを戦略プログラムないしアクション・プラン(実行計画)とし、その成果を確実にすることができます。
 (7)ITによりナビゲーション経営を実現し、スピーディーな問題発見と問題解決のためのアクションをとることができます。
 (8)ビジョンや戦略の見直しと学習のために、単なるフィード・バックではなく、フィード・フォワードに基づく戦略志向のナビゲーション経営ないし行政を行うことができます。

 なるほどね。で、本の中では、米サウスウエスト航空とか、モービル石油とか、リコーとかのバランス・スコアカードなど実例も豊富、製造業とか行政のテンプレートも紹介されている。新書だから、コンパクトに要点がもとめられている。