「世にも奇妙な物語 20周年スペシャル〜人気作家競演編〜」

 フジテレビの人気シリーズ「世にも奇妙な物語」も今年で20周年。今回は人気作家の原作を人気俳優たちでドラマ化した5編(先日放映していたのをHDD録画しておいて観る。最近はリアルタイムで鑑賞することが少なくなった。ほとんど録画しておいて好きなときに観るのがパターンになってきた)。
 今回のトップバッターは江口洋介主演、京極夏彦原作の「厭な扉」。こちらはドンデン返しがあることを知っていて、見ていると、筋が読めてしまう話。このあたりが「世にも奇妙な物語」の難しいところ。
 大野智主演、万城目学原作の「はじめの一歩」は、このシリーズで必ず入るコメディ系のエピソードで、これは伊東四朗の神さまで持つ話。
かたみ歌 (新潮文庫) 堀北真希主演、朱川湊人原作「栞の恋」(連作短編集『かたみ歌』の一編)は、これまた一本必ず入る切ない系の話。少々臭い話だが、今回はこれが一番面白かった。堀北真希はこうしたノスタルジックな役に合う。堀北演じるヒロインがタイガースのサリーのファンという設定で、堀北が行く古書店の主人役が岸部一徳、つまりサリー本人というのも洒落た趣向。
 玉木宏主演、東野圭吾原作の「殺意取扱説明書」はブラックユーモア系。東野圭吾って、こういう話も書いているのか。これも「世にも奇妙な物語」と思って見ていると、結末を読みやすい話。
クロスファイア [DVD] 最後の話が、広末涼子主演、宮部みゆき原作の「燔祭」。念力で発火することができる超能力(パイロキネシス)を持った女性というと、同じ宮部みゆき原作で長澤まさみのデビュー作でもある矢田亜希子主演の映画「クロスファイア」を思い出したのだが、ウィキペディアによると「燔祭」はこの前日談みたいな話で、映画は「クロスファイア」と「燔祭」をもとにしているらしい。どおりで既視感があったのだと思う。で、この「燔祭」は香川照之も出ていながら、ちょっと惜しい内容。情緒を出そうとして、話の展開がモタモタしている。「クロスファイア」とつながっている話だったら、矢田亜希子主演で見てみたかったな、という気もする。
 パイロネキシスは超能力映画の定番のひとつでもある。スティーブン・キングは「ファイアスターター」という小説を書いていて、まだ子役時代のドリュー・バリモア主演で「炎の少女チャーリー」という映画もあった。
 ともあれ、このシリーズ、見る人はみんなオチがあることを知っているわけで、それをもうひとつ引っ掛けるというのは、シナリオライターには相当な手腕が必要とされるな。
★フジテレビ「世にも奇妙な物語」番組サイト
 http://www.fujitv.co.jp/b_hp/kimyo/
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