テレビ・ニュースは「政治」よりも「食事」。NHKはB級首相会見よりもB級グルメにニュース価値を見た?

商売柄、首相の記者会見がテレビで生中継されるときには、雑用の手を止めて見るようにしているが、6日の放送にはいささか驚いた。30分たつと、質疑が続いているのにNHKはさっさと中継を打ち切ってしまったのだ。▼続く番組は日本橋のビルで一杯100円のダシ汁を売っている店を紹介していた(関東地区)が、菅直人首相の言葉は、街のお得情報より意味がないと判断したのだろう。確かに「朝5時起きでがんばっている」と自慢されても鼻白むしかない。

 産経新聞のコラム「産経抄」の一節。言葉ばかりで決断力がない菅首相は、NHKニュースにも見放されたと揶揄しているのだが、問題は菅首相ばかりでなく、NHKにもあるような...。「公共放送」を名乗るならば、首相会見をフルで流すべきでは。加えて、100円ダシ汁が象徴的で、NHKニュースが民放に擦り寄っている。若い視聴者向けにということかもしれないが、「わかりやすいニュース」って報道をバラエティ化することなの?と疑問に感じてしまう。
 民放の夕方のニュースはすごくて、すでに完璧にバラエティ化している。いまや朝鮮半島で戦争が起きても、18時台のニュースの中心は美味しい店、安くて楽しめる店みたいなB級グルメ情報を流しているんじゃないかという気がしてくる。これに多少、頑張っている人ネタか病気ネタか万引きなどの軽犯罪ネタか街ネタを混ぜて、夕方のニュースショーの出来上がり。ニュースのバラエティ化、ワイドショー化が加速し、その流れにNHKも飲み込まれてしまっている。NHKの報道って、BBCやCNN、あるいは急速に存在感を増しているCCTV中国中央テレビ)に対抗しようという気はないんだろうか。日本からの英語での情報発信を充実するとか、それが公共放送としての責務では...。
 で、上の話に戻ると、菅首相NHKもどっちもどっちの低水準。B級政治よりもB級グルメのほうが面白いという皮肉を込めた高度は社会批評...ということはないでしょう。支持率ばかり見ている政治家と視聴率にとらわれるテレビ局。どちらも国民の鏡と考えると、自分たちが情けない状態にあるっていうことなんだなあ。
【やぶしらず通信・関連ログ】
NHKが受信料支払いを求める民事訴訟。そんな面倒なことするより、スクランブル化すればいいのに... => http://t.co/uuYEVPW
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