W.G.パゴニス『山・動く』−−これは大震災のロジスティックスの参考書になるのではないか

山・動く―湾岸戦争に学ぶ経営戦略

山・動く―湾岸戦争に学ぶ経営戦略

 副題に「湾岸戦争に学ぶ経営戦略」。東日本大震災は、もはやロジスティックスの戦争だ。いかに迅速に被災者へ必要な物資を送るか。そして復興のために、どのように補給路を再構築するか。その点で「55万余の将兵と700万トンの物資をアラブの砂漠に配備した史上最大のロジスティクス・システム。その全貌を作戦司令官パゴニス中将自らがドキュメンタリータッチで詳細に語る」という、この本は参考になる。無駄な長時間会議を避け、効率的に連絡・調整・伝達する場をつくるため、立ったまま話し合うスタンディング・ミーティングを導入したり、悪条件の中でのコミュニケーションに5×3カードを利用するなど、実用的なノウハウに富んでいる。昔、読んだ本だが、いまのような極限状態で役に立つことも多いと思うのだが...。いまは絶版のようだが、電子書籍でも何だも誰か復刻しないだろうか。