夏場の電力不足。計画停電回避へ、自民党のいう「総量規制」は検討の余地はないのだろうか

東北関東大震災への対応を協議する、政府と与野党各党による会合が開かれ、政府側は、東京電力管内では、夏に向けて電力需要の増加が見込まれるとして、電力の供給は、今以上に厳しくなる可能性が高いという認識を示しました。▼この中で、資源エネルギー庁は(略)今後の見通しについて、現在、地震のために停止している火力発電所の稼働などによって供給量は増えるものの、6月以降、夏に向けて電力需要の増加が見込まれることから需要に供給が追いつかず、電力の供給は、今以上に厳しくなる可能性が高いという認識を示しました。これについて、自民党などは「企業の生産活動への影響を最小限に抑えるために、一定の期間、電気の消費総量を制限する『総量規制』を実施すべきだ」と述べましたが、資源エネルギー庁は、「一般家庭の消費量は、企業とは異なり、確実にコントロールできないので、『総量規制』よりも『計画停電』の方が確実だ」と述べました。

 今まででさえ、夏場の電力供給には不安があったのだから、福島の原発が機能停止した今、夏の電力供給に問題が出ることは目に見えている。計画停電が緊急避難として必要だったにしても、今のような方法を続けるというのならば、停電はしないという都心3区を除いて首都圏を中心とした東電給電地帯は死んでしまう。加えて、地球温暖化で猛暑が続く今、夏場に電気を止めれば、死者だって出るだろう。自民党の主張する「総量規制」がどんなものかはわからないが、大胆な消費規制を検討してみるのが筋なんじゃないだろうか。
 地域別の輪番休業の義務化、ネオンの禁止、深夜営業の禁止、ナイターの禁止、ドーム・武道館の利用の禁止、家庭では一定電力消費量以上に累進料金制をとるとか、思いつきに過ぎないと怒られるかもしれないけど、計画停電を漫然と続けるよりはいい。もろもろの規制に不満は出るだろうが、ナイターやライブが復活する日が復興の記念日と考えればいいんじゃないか。原発に絡んで、外資系企業がオフィスを東京から関西に移そうとすることに批判もあるが、電力供給から考えれば、歓迎すべき話で、非東電地域への移転は優遇したっていいんじゃないか。少なくとも拠点を上海やシンガポールに移されるよりはいい。夏の需要期が来る前に規制策を施行して、どのくらいの電力消費になるのか、シミュレーションしてみる手だってある。
 計画停電を官僚が好むのは、「確実性」もあるが、そのほうが楽だからだろう。法的な手続きも要らないし、関係者との調整も、批判もない。こうしたことこそ政治家の出番じゃないか。せめて検討するなり、試行してみる手ではないのか。このあたり、民主党はどう考えているのだろう。自民党のほうがまだ危機対応能力があるのだろうか。

エネルギー危機からの脱出

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