フランスからの原発事故用ロボット提供の申し出を東電が拒否?。日本はロボットに危険な仕事をさせない?
アレバ社は28日、本紙*1に対し、原発事故用にフランスで開発された作業用ロボットの提供を申し出たところ、東京電力が断ったと明らかにした。ロボットは1986年のチェルノブイリ原発事故後に同社や仏電力公社が開発にあたり、高性能カメラや作業用アームを搭載。放射線量が高い場所で、遠隔操作により作業ができる。アレバ社報道担当は、「東京電力はロボット使用は決定的な効果がないと判断したようだ」と述べた。
うーん、と唸ってしまう記事。フランスからの有り難い申し出を拒否したこともあるが、それと同時に、日本が、この手のロボットを持っていないこと。原発事故用の作業ロボットはフランスにあって、日本にないのか...。ロボットを人と同じように愛す鉄腕アトムの国だから、ロボットに危険な仕事をさせるのは嫌なのだろうか。一連の報道でロボットが日本製が出てきたのは、以下の記事ぐらいではにないか。
・福島原発へ『モニロボ』出動! 文科省が派遣 - ガジェット通信 => http://t.co/rNYV36q
・放射線量、危険な場所はロボットで測定 文科省が貸与 - 朝日新聞 => http://t.co/ITqMETA
鉄腕アトムは科学省生まれ。今回、登場した国産ロボットも企業ではなくて、文部科学省生まれだったのか。ただ、危険な場所に赴くといっても、偵察隊みたいな役割。最前線で戦うわけじゃない。戦闘要員となると、欧米系の独壇場。今度のフランスのロボット以外でも、こんな記事があった。
・米メーカーが軍用ロボットを無償提供 - テレビ朝日 => http://t.co/ZLiONKq
・米軍は無人偵察機を投入…原子炉内部を撮影へ ― スポニチ => http://t.co/SMDV2P5
空も陸も軍用ロボだが、今度も放射能という見えない敵との戦争みたいなもの。極限状態で人的損耗を避けつつ、戦うということになれば、できるだけマシンに代替させて、と考えるのだろう。人間は最も価値のある資産という思想が根底にある。このあたり、ゼロ戦とグラマンの開発思想の違いみたいな...。希少な人的資産であるパイロットを守ることを基本としたグラマンと、性能向上を優先し、パイロット保護は後回しにしたゼロ戦と...。今回も日本は事故状況撮影のために、自衛隊のヘリが有人で行くわけだから、犠牲的精神を持つ個人の英雄的行動に頼る思想は変わらないのかもしれない。
それにしても原発は、最悪の事態は想定しないことを前提としていたのだろうか。日本の技術力をもってすれば、原発が放射能漏れを起こした場合を想定した災害用ロボットが開発されていてもいいような気がする。それがにないのは、考えたくないから、考えなかったのだろうか。放射能漏れと同じように有毒ガス発生など危険度の高い化学事故の際に働くロボットもないのだろうか。やはり文科省の測定用ロボットだけなんだろうか。
日本はロボット先進国で、工業用ロボットでの強さは有名。さらに、アイボやアシモやムラタ君みたいな愛らしいロボットづくりでも先端を走る。ただ、どれも平時のロボット。非常時用のロボットは弱いんだなあ。鉄人28号よりも鉄腕アトムのほうが愛されているように、よくいえば平和好き、悪くいえば、どこか刹那的で、最悪の事態に備えることが嫌いな国民性を象徴しているのだろうか。
★日本の愛すべきロボット君たち
・アイボちゃん
http://www.sony.jp/products/Consumer/aibo/
・アシモくん
http://www.honda.co.jp/ASIMO/
・ムラタセイサク君にムラタセイコちゃん
http://www.murata.co.jp/corporate/boy_girl/index.html
★米国iRobot社の可愛くない戦闘用ロボットたち
・陸戦用 => http://www.irobot.com/gi/ground/
・海戦用 => http://www.irobot.com/gi/maritime/
*1:読売新聞