東日本大震災の津波は明治三陸津波を超える38.9メートルの巨大津波だった

津波に襲われた岩手県宮古市では、115年前の「明治三陸津波」で記録された津波を超える、38.9メートルの高さまで津波が駆け上がっていたことが、専門家の調査で分かりました。▼東京海洋大学の岡安章夫教授のグループは、岩手県宮古市の姉吉地区で津波の高さなどを調べました。この地区では、入り江の海岸から400メートル以上離れた高台で、津波が斜面を駆け上がった痕跡が残されていて、測量の結果、38.9メートルの高さに達していることが分かりました。これは、1896年に起きた「明治三陸津波」の際に、現在の岩手県大船渡市の綾里地区で記録された38.2メートルを、70センチ上回る高さです。

 昔、吉村昭の『三陸海岸津波』で30メートルを超える大津波という記述を読んだときは数字が間違っているのではないかと思った。科学的な検証のない伝承の入った話なんだろうかとも思った。一夜にして村落が消えたという話をリアリティをもって読むことができなかった。しかし、今回の津波を見て、30メートルを超える大津波というものが実際に起きるのだということを知った。とても信じられなかった明治三陸津波をも超える巨大津波だったのだ。

三陸海岸大津波 (文春文庫)

三陸海岸大津波 (文春文庫)