高橋洋一『霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」』

霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)

霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)

 2008年5月に出版された本だが、指摘されている問題点が3年を経ても変わっていないところが悲しい。いや、状況はもっと悪くなっているのかもしれない。目次で内容を見ると、こんな感じ。

第1章 「埋蔵金」とはなにか
第2章 国のお金はどう動くのか−−財政編
第3章 国のお金はどう動くのか−−金融編
第4章 公務員制度改革の闘い
第5章 国家を信じるな

 筆者の書き下ろしではなく、インタビュアーの質問に高橋氏が答える形式。しかし、これを読んでいると、霞が関(官僚機構)の強さを改めて感じる。そして、政権交代によって表面上、「政治主導」の体裁をとりつつ、結局のところ、霞が関の支配は変わらない。民主党政権になって、政策の意思決定過程が見えなくなっているから、ますます、たちが悪いかもしれない。この3年間は「反動」の時代だったのだなあ。そして、東日本大震災が、その「反動」をさらに加速させるのかも。行政改革も、公務員制度改革も、政治改革も、日銀改革も、道州制など地方の改革もなく、ただひたすら「復興」という錦の御旗をたてた増税、官僚機構の肥大化ということになってしまうんだろうか、などと、この本を読みながら、考えてしまった。