セントアンナの奇跡

 スパイク・リー監督の戦争映画。第2次大戦・イタリア戦線における黒人部隊の悲劇。ドイツ軍、ファシストによるイタリア住民の虐殺事件がこれに絡む。冒頭、ニューヨークの郵便局で定年間近の黒人局員が突然、ルガーで男を射殺する。そこから大戦秘話が明らかになっていくという構成。人種差別が厳しい時代に、黒人部隊にとっては味方も敵なような存在。イタリアもレジスタンスとファシストに分かれ、ドイツも非道に走ってしまう残虐な指揮官・兵士と人間性を残し人命を尊重する指揮官、兵士に分かれる。敵味方は国境によって分かれるのではなく、人間によって分かれるという感じ。そのあたりがスパイク・リーの戦争映画たる由縁かもしれない。