コロナ・ブックス編集部『植草甚一スタイル』

植草甚一スタイル (コロナ・ブックス (118))

植草甚一スタイル (コロナ・ブックス (118))

 こういう粋なお爺ちゃんは見かけなくなったなあ。若作りの人はいても、最先端を追いかけている粋な人。世の中の役に立っているんだか、いないんだか、わからない、我が道を行く人。価値があるのだか、ないのだか、わからないものに価値を認め、自分なりの目で、いろんなものを集め、さらにはそれを解体して、自分でコラージュして、いろんなものをつくってしまう人。いまでも、こうした人はどこかにいるんだろうか。植草甚一が集めた本やレコードや雑貨はもちろん、ノート・日記、スクラップなどの写真も豊富で、ビジュアルにも楽しめる。しかし、本当に趣味の人だったのだなあ。
 片岡義男川本三郎池内紀土橋とし子田中小実昌高平哲郎の各氏が植草甚一を語ったエッセイが収録されている。巻末には、ブックリストに年譜と資料もしっかり付いている。