隠された記憶

隠された記憶 [DVD]

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 ある日、自分の家を外から録画したビデオカセットが送られてくる。そこから幸せな家庭が崩壊の兆しを見せていくのだが、ストーリーは予想外の展開を見せ、ヨーロッパの映画らしく多くを説明しない。あとから考えると、辻褄が合うような、合わないような...。背景にフランスのアルジェリア問題があったりもするのだが、それもヒッチコック言うところのマクガフィンみたいなものかもしれなくて、人間の心の奥を描き出すための道具みたいな感じ。この映画でカンヌ映画祭監督賞をとったミヒャエル・ハネケ監督の巧みな話法と映像で深い映画の雰囲気を醸し出しつつ、本当はどこまで深いのか、あるいは、深くないのか、よくわからないところがある。映画賞向きの映画という感じも少々する。
 主人公の老母役の女優さん、どこかで見たことがある人だと思ったら、アニー・ジラルドだった。懐かしいです。主人公の旧友、マジッド役の人も見たことがあると思ったら、こちらは「アメリ」で、思い出の品が入った箱を返してもらうブルトドー氏を演じていたモーリス・ベニシューだった。主人公の妻が「イングリット・ペイシェント」でアカデミー助演女優賞をとったジュリエット・ビノシュ。ビノシュ、新作の「ゴジラ」にも出ているみたいだけど。