大阪都構想をめぐる住民投票は1万票まりの差で「反対」が勝利

 大阪都構想、開票当初は「賛成」がリードしていたが、結局は...

大阪都構想」の賛否を問う住民投票の開票結果です。
▽「反対」70万5585票
▽「賛成」69万4844票
「反対」が「賛成」を1万票余り、得票率にして0.8ポイント上回り、多数となりました。

 得票率にして、0.8ポイントなのだから、相当な僅差だなあ。
 NHKの開票速報を見ていて気づいたのは、賛成は北部の区に多く、反対は南部に多いこと。実際、最終結果を見ると、南北対立になっていたらしい。
「大阪都構想住民投票」で浮き彫りになった大阪の「南北格差問題」
 豊かな北部と貧しい南部という見方もできるらしく、低所得層は従来通りの大阪市による保護の継続を望んでいるとも読めるらしい。
 一方、こうした分析も...
大阪都構想住民投票 出口調査、60代超は過半数が反対 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
 うーん。極論すれば、市の保護を必要とする所得層、高齢層は大阪市の継続を支持し、市に依存する意識の少ない所得層が大阪都支持に回ったともいえるのだろうか。このあたりの投票結果分析、どこかがきちんとやってくれるのだろうか。所得格差、地域格差など微妙な問題を含むだけに正面切った分析は難しいのだろうか。
 今回の住民投票での敗北を受けて、橋下市長は任期後に政界を引退するという。
大阪都構想:橋下市長、政界引退を表明…12月任期満了で - 毎日新聞
 自民、民主、公明、共産など呉越同舟で、大阪都構想、橋下市長ともに葬り去った既存政党は住民投票の結果に快哉を叫んでいるのかもしれないが、では、大阪市をどうするつもりなのだろう。政党、市役所(官僚)は利権を維持し、市民が大阪市を選択する理由が社会保障など受益面ばかりだとすれば、大阪市は引き続き衰退の道を歩むことにならないのだろうか。大阪市の財政は持つのかどうか。大阪都構想は、ひとつの問題提起ではあったわけで、それを否定した後に、何をするのかという議論が始まらなかったら、なんとも虚しい。大阪市はどう生きていくのだろう。大阪はかつて家電メーカーの中心地だったが、いまや三洋電機はなく、シャープは危機に瀕し、松下電器産業ももはやグルーバルなパナソニックになってしまっているわけだし...。
 「改革」といえば、何でも興奮してしまった時代もちょっと変だったけど、今は「変わらないことがこれ以上悪くならないために一番いい」と思う超保守の時代なのだろうか。「大阪都」については勉強していないので、大阪都がいいとも言えないのだが、テレビを見ていると、そうした政策の評価よりも時代の空気を感じてしまう。ともあれ動いてみる時代から、何もしないことが一番被害が少ないという時代。政党もその辺を訴えていたようだし...。しかし、今回は自民党と共闘していた野党の人たち、この空気をどう打ち破るつもりなのだろう。何もしないことがいいって、自民党でええやん、という話だし...。

大阪都構想が日本を破壊する  (文春新書 1020)

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体制維新――大阪都 (文春新書)

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