陸海空、自衛隊を四文字熟語で表現すると...

 冨澤暉『軍事のリアル』を読んでいたら、陸海空、自衛隊の特色・違いを表す四文字熟語があると、紹介されていた。それによると...

陸上自衛隊:「用意周到・頑迷固陋(または動脈硬化)」
海上自衛隊:「伝統墨守・唯我独尊(または頑迷固陋)」
航空自衛隊:「勇猛果敢・支離滅裂」

 何となくイメージが湧いてくるなあ。著者の冨澤氏は陸自OB。空自といえば、田母神閣下かあ。かつて統合幕僚会議・事務局という組織があったが、こちらは「高位高官・権限皆無」といわれていたのだとか。これもまたイメージが湧くなあ。
逆説の軍事論 軍事のリアル (新潮新書)  この本、まだ読みかけだが、自衛隊のおもしろトリビアの本というわけではなく、真面目かつ冷静に日本の安全保障・軍事問題を論じた入門書。冨澤氏は陸上自衛隊トップの幕僚長を務めた人で「高位高官」になるのかもしれないが、以前に読んだ『逆説の軍事論』も現代の安全保障・軍事問題をクールにかつリアルに論じた本で参考になった。田母神閣下に比べると知性派といった感じ。イケイケの勇猛果敢な人ではなく、用意周到な感じのする軍事の専門家だが、頑迷固陋ではなく、世界の現実に即して現代の日本の軍事を考える人という印象がある。
憲法サバイバル: 「憲法・戦争・天皇」をめぐる四つの対談 (ちくま新書1250) 主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿 最近は安全保障・問題では、冨澤氏と紛争解決請負人といわれる伊勢崎賢治氏を注目しているのだが、『軍事のリアル』には伊勢崎氏が登場し、伊勢崎氏の近著『主権なき平和国家』(こちらは最近、読み終わったところ)には冨澤氏が出てくる。ふたりは『憲法サバイバル』という本でも対談している。これから憲法改正論議が過熱してくるのかもしれないが、このふたりの議論はリアルでクールで傾聴に値する。ふたりの意見がすべて一致しているわけではない。それよりも改憲・護憲、右派・左派の前に、まず現実を認識し、問題の本質を考え、議論することの大切さをふたりは教えてくれる。