陸山会事件、小沢一郎氏に無罪判決。でも、これって「疑わしきは罰せず」でグレーだけど黒じゃないと...

政治資金を巡って収支報告書にうその記載をしたとして強制的に起訴された、民主党の小沢元代表に、東京地方裁判所は、元秘書によるうその記載を認めた一方、元代表との共謀はなかったと判断し、無罪を言い渡しました。

 注目の陸山会事件の小沢公判。東京地裁の判決はなかなかのクセ球でした。東京地検の操作方法を批判しつつの無罪判決で、小沢氏全面勝利かというと...。こんな部分を読むと...

判決で大善裁判長は、報告書の記載について、「石川議員が小沢元代表の巨額の個人資産やその原資に関して追及を受けるなどして、元代表の政治活動に不利益になると考え、うその内容を記載した」と指摘し、うその記載に当たると認めました。一方、小沢元代表との共謀に関連して、裁判長は「秘書から報告を受けたことがあったと認められるが、元代表に故意や共謀があったとは認定できない」と述べ、共謀はなかったと判断しました。

 うーん。政治資金報告書の記載はウソで、小沢氏は秘書から報告を受け、了承もしているけど、共謀したとまでとは認定できない...。要するに、秘書がつくったウソの政治資金報告書は知っていたけど、共謀したというには証拠が足りませんということなんだろうか?。疑わしきは罰せずでというわけで、共謀とう点では法的には罪に問えないということ? こうなると、法的には責任がなくても、政治家としての道義的責任はどうか、という話になってしまうような...。ウソの報告書という犯罪はあったけど、その関与の度合ということか。ウソの報告書を了承したということは、それでアウトと思うけど、「共謀」ぐらいまで関与していなければ、セーフ? よう、わからん。
 しかし、なかなか味のある判決だなあ。この判決をどう読むかはそれぞれの人の立場次第という感じがしてくる。結局のところ、判決が出ても、親小沢・反小沢、まずは、どのように新聞、テレビに取り上げられ、その結果、世間の風向きがどちらに向かうのか、必死になって読もうとするのだろうなあ。朝、主文が伝えられた段階では「無罪」だけが先行し、「小沢=潔白」「検察・検察審査会=悪」みたいな感じだったけど、判決理由が全部明らかになると、そうすっきりした話でもなくなってきた。
【追記】
 NHKの記事の最新版の一節...

裁判所は、元代表が報告書に4億円を記載しないことを了承していたと認めたものの、「違法性の認識があったとは言えない」として、共謀を否定しました。

 ウソの記載を了承したが、違法とは思っていなかった...。ということ? 正しく記載しないことが違法とは思っていなかったから、無罪? 結果責任ではないのか。やっぱり、よくわからない。で、判決文には検察批判と同時に、こんな記載も...

大善裁判長は、判決の中で、小沢元代表が法廷で「報告書を一度も見ていない」などとと証言したことについて、「証言の内容が変遷し、不自然な点もあって信用できない」と指摘しました。

 信用できないといわれても、無罪を勝ち取ってしまえば、もはや、この件について話す必要はないという態度を貫くのだろうか。野党は国会で聞きたがるのかな。でも、もう終わった話だと...。
★小沢元代表裁判「判決骨子」全文 NHKニュース => http://bit.ly/IieRPy
★「裁判所の良識に敬意」=小沢氏が談話発表時事通信) - Yahoo!ニュース => http://bit.ly/Ii0Xgw

検察vs.小沢一郎―「政治と金」の30年戦争

検察vs.小沢一郎―「政治と金」の30年戦争

 ※ どっちもどっちみたいな判決だったような気も...