柴田三千雄「フランス革命」
- 作者: 柴田三千雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/12/14
- メディア: 文庫
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ロベスピエール派は民衆運動のコントロールを強化することにより、民衆運動を骨抜きにしてしまったといえます。ロベスピエールの片腕といわれた公安委員会の一人のサン=ジュストが、その手記に、「革命は凍りついた」と書いています。これは非常にシンボリックな言い方です。つまり民衆運動のエネルギーが革命独裁を生みだしたにもかかわらず、それが革命独裁によって完全にコントロールされると、民衆運動でなくなる。なぜなら、そのエネルギーはコントロールされない自律性のなかにあるからです。「革命は凍りついた」ということは、革命独裁が自分を生みだしてくれた民衆運動の熱狂的な力を、自分自身の手で圧殺したことを物語っているのです。これがロベスピエール派の没落の意味だと思います。
なるほどなあ。政治という力学は動的なもの、勢いなんだなあ。著者は、フランス革命が生まれた条件を3つあげる。
既存の支配体制が統合力を失ったこと
大規模な民衆騒擾が発生したこと、
この事態に対処する能力をもった新しい政治指導集団になりうるものが存在すること
これは他の革命にも通じるのかもしれない。で、この本、講演をまとめたもの。そのため、論文として書き下ろされたものに比べると、流れがまったりとしている。また、著者自身、あとがきで「限られた回数しかないセミナーで、私がフランス革命の解釈や比較の方法とかの問題に時間をさきすぎている、との印象を与えているかもしれない」という通り、第I章は解釈論、学説論に終始していて、ちょっと読みづらい。で、著者は「冒頭から解釈だ方法だという議論はわずらわしいと思われる読者は、第II章、あるは第III章から読みはじめて下さっても構わない」と書いている。はい。私は第II章から読みはじめました。
【参考】
・ウィキペディアにみる「フランス革命」
wikipedia:フランス革命