松谷浩尚「イスタンブールを愛した人々」

イスタンブールを愛した人々―エピソードで綴る激動のトルコ (中公新書)

イスタンブールを愛した人々―エピソードで綴る激動のトルコ (中公新書)

 人物で描くイスタンブールとトルコの歴史。ナイチンゲールシュリーマンから始まり、日本人では、山田寅次郎乃木希典大谷光瑞芦田均橋本欣五郎といった人々が登場する。日本人でもイスタンブールと接点を持っている人が意外と多いことを知る。トルコもロシアの圧力を受けているだけに、日露戦争における日本の勝利を祝福する気分が強く、さらに、トルコ共和国の成立にあたっての支援が加わって、日本との関係が親密になっていったんだなあ。もうひとつ気がついたのはブルーノ・タウトとトルコの関係。タウトが日本を離れた後、トルコに向かい、そこで客死したことは知っていたが、それがナチスの迫害を逃れてのこととは知らなかった。それで、トルコに言っていたのかあ。近代トルコ建国の父とも言えるケマル・パシャについても興味を覚える。