「舞姫」は「アンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト」ではなく「エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルト」?

文豪・森鴎外の代表作「舞姫」のヒロイン・エリスの実像に迫る資料を、ベルリン在住のライター六草(ろくそう)いちかさん(48)がドイツの教会公文書館で発見した。鴎外を追って来日したエリーゼ・ヴィーゲルトと思われる女性の洗礼や堅信礼の記録などで、名前以外にも「舞姫」の記述と一致する点が多い。(略)研究者がドイツなどでエリーゼ・ヴィーゲルト捜しを続けてきたが、現地の記録で存在を確認できず、年上のユダヤ人「エリーゼ・ワイゲルト」説や、来日時15歳の「アンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト」説などが出されていた。(略)六草さんが発見した洗礼記録は、シュチェチン(現・ポーランド)の聖マリア教会の教会簿として保存されていた「エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルト」という女性のもの。名前が乗船名簿と一致するほか、1866年9月15日に母の故郷であるシュチェチンで生まれたとあり、鴎外を追って来日した時は21歳だったことになる。

舞姫 (集英社文庫) 森鴎外の「舞姫」のエリス探しに、またまた新説。「アンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト」説には、かなり説得力があったが、今回のほうが「舞姫」の記述に近いらしい。両説とも姓は「ヴィーゲルト」で、これは乗船名簿から間違いないのかもしれない。どちらのヴィーゲルトか、ということなのだろうが、年齢、出身地などを考えると、確かに今回の説のほうが有力かもしれない。「舞姫」が発表されたのは、1890年。120年たっても新たな資料が発見され、新説が出てくるんだなあ。その間にドイツは2度の世界大戦に敗れ、ベルリンも一度は廃墟になった。ポーランドにしても第二次大戦で荒廃したのに、よく、いろいろな資料が残っていたなあ。
★「エリーゼ・マリー・カロリーネ・ヴィーゲルト」説

鴎外の恋 舞姫エリスの真実

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★「アンナ・ベルタ・ルイーゼ・ヴィーゲルト」説
新説 鴎外の恋人エリス (新潮選書)

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鴎外の恋人―百二十年後の真実

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【やぶしらず通信・関連ログ】
森鴎外舞姫」のエリスのモデル探しに新証拠。イニシャルは「A.B.L.W.」(2010年11月11日) => http://t.co/9RREfbZ