2016年の米大統領選のあと、フェイスブックのザッカーバーグはトランプにお祝いの電話をしていた?

 米BuzzFeedに、こんな記事があった。

 In the days following Donald Trump’s election victory over Hillary Clinton, Facebook CEO Mark Zuckerberg placed a secret, previously unreported call to the president-elect during which, sources told BuzzFeed News, he congratulated the Trump team on its victory and successful campaign, which spent millions of dollars on advertising with Facebook.

Congratulations, Mr. President: Zuckerberg Secretly Called Trump After The Election

https://www.buzzfeednews.com/article/ryanmac/congratulations-zuckerberg-call-trump-election-2016

 2016年の米大統領選のあと、フェイスブックザッカーバーグが秘密裏にトランプ陣営に「大統領、おめでとうございます」電話をしていたことが明らかになったという。若手経営者がトランプ大統領を支持していたという単純な話にはならないのは、この記事の後段にあるように、トランプ陣営はフェイスブックの個人データを利用して選挙運動を展開していたという疑惑があるから。となると、個人データをご利用いただき、ありがとうございますという電話にも解釈されかねない。選挙活動のお役に立てたようで...と。

 この疑惑の中心に位置するのはケンブリッジ・アナリティカをめぐる問題...

www.bbc.com フェイスブックの個人データを利用して、心理操作を行う。テレビやラジオの黎明期にも、メディアを利用した情報操作が問題になったが、いまは情報通信の時代、もっと高度で洗練された大衆心理操作の時代になった。その中心に膨大な個人データを持ったフェイスブックがいる。大衆心理操作の素材を提供するーーフェイスブックは知らずに利用されたのか、知ってて知らないふりをしたのか、あるいは確信犯か。BuzFeedのような記事が出てくると、確信犯の可能性も疑われてしまう。

 かつてシリコンバレーはリベラルといわれていた。アップルは「1984年」のビッグブラザーを敵とし、グーグルは言葉だけにしても「邪悪になるな(Don't be evil)」を行動規範としていた。しかし、フェイスブックの創業を支援したペイパルのピーター・ティールはトランプ大統領の有力な支持者だし、いまやIT業界は、リベラルというよりもリバタリアンが主流なのかもしれない。

 フェイスブックは大衆を心理的に支配する邪悪な存在になろうとしているのかもしれない。ビッグブラザーをサポートする存在。しかも、今回の支配は、操作されている人間はそれに気が付きもしない。自分の心に潜むバイアスが利用され、政治家であれ、企業であれ、フェイスブックのクライアントが望む方向に誘導される。自分で決めているつもりで、実は誘導されている。ほんとタチが悪い。

 このあたり、欧米ではかなり議論になっているようだが、日本では、これからの議論なのだろう。いまはまだ個人データを集積したビッグデータを利用して、AIでバラ色の未来を創るといった話のほうが主流のような気がする。技術は使い方次第。文明の利器にもなれば、凶器にもなる。核エネルギーに似ているのかもしれない。しかし、ザッカーバーグ、最近はネガティブな話がいろいろと出てくる。