トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」

ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食を

 村上春樹の新訳によるカポーティの古典。オードリー・ヘップバーン主演の映画のイメージが強いのだが、原作を読んでみると、ヘップバーンとは違う感じ。村上春樹の解説によると、「カポーティはヘップバーンが映画に主演すると聞いて、少なからず不快感を表したと伝えられている」とのことだが、それもわかる気持ちがする。性的な奔放さや同性愛的な表現もあり、これを原作にハリウッド映画をつくろうとしたのが不思議な気もする。小説として楽しめた。カポーティは、都会を描いていながらも、どこか南部的というか、田舎の臭いがする。

FRBは日曜日に緊急利下げ

FRBは16日、公定歩合を緊急に0.25%引き下げ年3.25%にすると同時に、証券化商品市場へ資金供給を増やす新制度を創設することを決めた。新制度活用の第1弾としてJPモルガン・チェースが同日買収を発表した証券大手ベアー・スターンズに対し最大300億ドル(約3兆円)を緊急融資することも決定。金融緩和、資金供給の両面から金融システムの底割れ回避を目的にタイミング、内容とも異例の対策を打ち出した。

 今週の相場は荒れそうだと思ったら、その機先を制するかのように、FRB公定歩合の緊急引き下げに動く。しかも、17日の東京マーケットが開く前、16日の日曜日に発表するという異例の決定。

JPモルガンがベア・スターンズを救済買収

米大手銀行のJPモルガン・チェースは16日、資金繰り難で経営危機に陥った米証券大手ベアー・スターンズを買収することで合意したと発表した。複数の現地メディアによると、買収総額は2億3600万ドル(約230億円)。ニューヨーク連邦準備銀行が同日導入を発表した証券会社に対する新型の直接融資制度を使い、最大300億ドル(約3兆円)の融資を受け、経営立て直しを目指す。

 一方、証券大手に対する信用不安が懸念されるなかで、こちらも日曜日に、JPモルガン・チェースが1株2ドルという安値で、ベア・スターンズを買収することを発表する。ニューヨーク連銀の新たな直接融資制度を利用しての救済M&A。金融危機に歯止めをかけ、ドルを守るべく、利下げとベア・スターンズ救済という大きな手を東京マーケットが開く前に米国は打ち出してきた。

東京は日経平均1万2000円割れ、ドルは一時95円台に

17日の東京株式市場で日経平均株価は3日続落。終値は前週末比454円9銭(3.71%)安の1万1787円51銭と、2005年8月9日以来、約2年7カ月ぶりに1万2000円を割り込んだ。米国を中心とした金融システム不安から前週末の米株式相場が下落。外国為替市場で円高・ドル安が進み、輸出関連を中心に主力企業の業績悪化懸念が強まった。後場の開始直後には下落幅が500円を超え、1万1700円を割り込む場面もあった。東証株価指数(TOPIX)も大幅に3日続落。

 米国の金融当局の大胆な手にもかかわらず、信用不安、ドル不安の流れは変わらなかった。日経平均は、1万2000円台を割り込む。一方、円は急伸し、一時、1ドル95円台に突入する。マーケットでは、米国の金融システムに対する不信感が払拭されない。

一方、日銀総裁人事は相変わらず彷徨

政府は17日朝、日銀総裁人事を巡る与野党対立の打開に向けて19日に任期が満了する福井俊彦総裁を再任する案を民主党に打診した。野党の反対により参院で不同意となった武藤敏郎副総裁の昇格案は事実上取り下げたが、民主党側は受け入れを拒否。政府が目指してきた17日中の決着は流動的となっている。

 3月19日の任期切れまで、もうほとんど時間がないのに、日銀総裁人事は相変わらず彷徨を続ける。自民党も、民主党も「政局」に夢中で、「政治」を考える気持ちはない様子。国際金融システムが危機的な状況にあるのにもかかわらず、国内の「政局」のほうが大切なのか・・・。決められないのならば、経験に富む福井総裁の再任でいいのではないのかと思うのだが、それでも、ダメならば、誰にするのか。拙速に決めるのも考えものという気がする。素人考えでは、既に準備万端の武藤副総裁の昇格か、それがダメというのならば、福井総裁の延長で、後継者をじっくりと探すというのが、リーズナブルな気がするけど。

アジア株も下げる。株価暴落の連鎖が世界を回る

17日のアジア株式相場は急落した。香港のハンセン指数は前週末比5.2%安い21084.61で取引を終了、昨年8月17日以来の安値を付けた。インドのSENSEXも14809.49と6.0%値を下げた。中国の上海総合指数も4日続落し、3.6%安の3820.048で引けた。

 インドも、香港も、上海も株式相場は下落。チベット暴動は、中国のカントリーリスクとなってきた。中国は、地球村の一員なのか、それとも、人権問題で、村の和を破壊するのか・・・。いろいろな問題が錯綜して、噴出してきた。

欧米の株式相場も下げている

Markets from New York to Tokyo have recorded heavy losses in reaction to the emergency bailout of US investment bank Bear Stearns over the weekend. In New York the Dow Jones Industrials tumbled 194 points, more than 1.5%, in early trading before recovering. London's FTSE 100 index was down 2.7%, in Paris the Cac 40 slumped 2.9% and Frankfurt's Dax fell 4.1%.

 株安・ドル安の連鎖が止まらない。欧米の株式市場も下げている。金融機関が傷んだときは、金利を下げるだけでは解決しない。傷んだバランスシートを修復しなければ、信用縮小の悪循環を立てない。マーケットはそのあたりを見ているんだろうな。これでは不十分だと。利下げは資金を供給して金融機関の資金繰りは助けても、不良債権という根本を断つことはできない。加えて、金利を下げれば、通貨安を招く危険性がある。米国としては、既にドル安は加速しているし、その副作用も考えなければならないだろうしなあ。公的資金を入れてバランスシートの改善を進めるという政治決断ができるのかどうか。混迷が続くなあ。

イングランド銀行も資金を臨時供給

英国の中央銀行イングランド銀行は17日、金融市場に50億ポンド(9700億円)の3日物の資金を臨時供給した。臨時の資金供給は英中堅銀の経営危機で市場が混乱した昨秋以来、ほぼ半年ぶり。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に伴う金融不安から短期金利が急上昇したため、異例の大規模供給に踏み切った。

 う〜ん。金融不安が広がっている。短期金利の上昇を抑えるために、イングランド銀行が1兆円近い資金を市場に投入。各国、綱渡りが続いている。こんな非常時に、日本は中央銀行総裁がいない国になってしまう。そんなことが本当に起こるのだろうか。