マイケル・ルイス「コーチ」

コーチ

コーチ

 「マネーボール」「ライアーズ・ポーカー」のマイケル・ルイスが書いた高校時代の野球コーチの話。1時間もかからないで、読めてしまえる小冊子だが、感動的であると同時に、いまの教育状況を考えさせる。卒業生たちに今も賞賛されている鬼コーチ(フィッツ)がいまは在校生の父兄たちから抗議を浴びる。教え子たちと思うようにコミュニケーションができずに苦労する。そういえば、知り合いのクラブ活動のコーチをしている先生が、問題児といわれる子供の原因の大半は親にあるといっていたけど、日米問わず、そうなんだなあ。

 人生には、あきらめるための安易な言い訳がいくらでもころがっている。そのすべてに打ち勝って、自分の道を切り開いて進む姿勢の大切さ。それがフィッツの言う“肝心なこと”なのだ。

 とか

 まじめに努力する場合は、いろいろな課題と向き合わなければならなくなるが、真剣にやるやつなんて馬鹿だと笑い流してしまえば、自分が課題を避けて通る言い訳になる。

 とか、マイケル・ルイスが学んだことは大きかったのだなあ。そして、こうしたコーチに出会えたのは幸運だったのだな。で、いまの過保護の親たちは、楽をして(ズルをしてでも)生きろ、と子供に教えようとしているのだろうか。