菅夫人の本のタイトルで「ベータマックスの失敗」を思い出す
菅首相夫人の菅伸子さんが、こんな本を出したという。
あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの (幻冬舎新書)
- 作者: 菅伸子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/07/21
- メディア: 新書
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VHS対ベータマックスのビデオカセット規格戦争で敗色濃厚となってきたソニーは1984年1月の新聞紙上に「ベータマックスはなくなるの?」「ベータマックスを買うと損するの?」「ベータマックスはこれからどうなるの?」というタイトルの全面大広告を打つ*1奇抜な見出しで消費者の気を引き、「でも、やっぱりソニーだよね」と行く戦略だったのだろうが、これが完全に裏目に出る。自分をコケにするだけの余裕があるんだったら大丈夫と思うだけの信頼は消費者には既になく、最後には「ますます面白くなるベータマックス!」という広告につながるのだが、むしろ「あ、ベータはやっぱり危ないんだ」と思わせてしまった。しかも、VHS対ベータの規格争いに関心がない人にまで選択の基準として規格を認知させてしまい、ベータ離れは加速してしまう。
さて、そこで菅夫人のこの本。菅首相への期待が残っていることが前提にないと成立しない。そうでないと、やっぱり「日本は何も変わらない」と確信させることになってしまう。それでは政権の求心力低下を加速させるだけ。ベータマックスみたいに。逆説型広告は難しい。
参議院選挙中のテレビ広告を見ていても、広告会社に踊らされているのか、自ら暴走しているのか、菅首相が元気になればなるほど票が飛んでいく気がした。カメラを意識した元気では、真面目に物事に取り組んでいるように見えない。今回の本を出したタイミングといい、夫婦そろって、どうも世の中の空気を読めない人らしい。あるいは、ワールドカップ日本代表の岡田監督ではないが、もはやどん底で失うものは何もないと、決断と行動を見せてくれるかどうかだが。
*1:このあたりは、ウィキペディアの「ベータマックス」の「ビジネス戦略の失敗」に詳しい → wikipedia:ベータマックス