ジャーナリストは現場で取材してこそジャーナリスト。その意味で、『フラット化した世界』『グリーン革命』のトーマス・フリードマンはやはりジャーナリストだなあ。タハリール広場に自ら乗り込み、自分の目で確かめ、その場で若者と話し、レポートを送っていた。以下のストーリーはエジプトの人々の心情を描いて感動的だ。
・Out of Touch, Out of Time - NYTimes.com => http://t.co/yXwBsrZ
いくつものベストセラーを出し、もうジャーナリストとして大御所といってもいい存在なのに、動乱の地に自ら飛び込んでいっていたのだ。上の記事のほかにも、2月に入ってから、こんなにニューヨーク・タイムズに記事を送っている。
・B.E., Before Egypt. A.E., After Egypt. => http://t.co/gRxdlMd
・China, Twitter and 20-Year-Olds vs. the Pyramids => http://t.co/33FTBS8
・Speakers’ Corner on the Nile => http://t.co/lqt5HhC
・Up With Egypt => http://t.co/OxN2JUP
ノンフィクション作家ではなく、本当に今と生きるジャーナリストだったのだな。考えて見れば、フリードマンは中東特派員で、出世作は『ベイルートからエルサレムへ』だった。
- 作者: トーマス・L.フリードマン,Thomas L. Friedman,鈴木敏,鈴木百合子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞
- 発売日: 1993/06
- メディア: 単行本
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一方で、日本のジャーナリストはどうなのだろう。まだ日本人ジャーナリストからの知的刺激に満ちた問いかけは出てきていない。いまだに20世紀的な構造の地政学的解説にとどまっている感じがする。それ以前に日本人ジャーナリストの関心も薄いような気もする。戦場カメラマンの渡部陽一さんは血が騒がないのだろうか。「自由報道協会」の議論も大切かもしれないが、既に死んでしまったような記者クラブ制度を相手にしているよりもカイロに乗り込まないのだろうか。
個人的には今回の事件をどう見るのか、いちばん話を聞いてみたいのは村上春樹氏だなあ。高くて固い壁を卵たちが集まって崩すことができるのかどうか*1。村上春樹に誰かインタビューしないのだろうか。読みたいなあ。
【追記】
ムバラク大統領の退任が発表され、フリードマンもカイロから記事を送っていた。
・Postcard From a Free Egypt => http://t.co/Tnl12F4
*1:村上春樹エルサレム賞スピーチ「卵と壁」全文(日本語訳): 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース) => http://t.co/WstzSea