- 作者: 是枝裕和
- 出版社/メーカー: あけび書房
- 発売日: 1992/12
- メディア: ハードカバー
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ただ、是枝監督らしく、問題を声高に主張するのではなく、夫婦や家族との日常も描きながら、ひとりの官僚の死への軌跡を静かにたどっていく。社会に対しても、組織に対しても、みんなに対して誠実であろうとすることで引き裂かれていくのだなあ。本のタイトルとなっている「しかし...」というのは自殺した局長が少年時代に書いた詩。その「しかし」を言えなくなっていくのだなあ。そして「しかし」の思いを持った人が組織から排除されていくと、最後は「しかし」とは言わない人が集まった、省益重視の純化した官僚集団になっていくのだろうなあ。疑問を持った者は「負け組」とされてしまうみたいな...。ともあれ、現代も続く様々な問題を考えさせられる本。
この本、「官僚はなぜ死を選んだのか」というタイトルで文庫本にもなっている。
官僚はなぜ死を選んだのか―現実と理想の間で (日経ビジネス人文庫)
- 作者: 是枝裕和
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2001/06
- メディア: 文庫
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