福井エドワード『スマートグリッド入門』

 福井原発の事故に発した電力不足で再び注目を浴びるであろうスマートグリッドの入門書。副題にある「次世代エネルギービジネス」を新書らしくコンパクトに概観している。目次で内容を見ると、こんな具合...

第1章 いまそこにあるスマートグリッド
 ・スマートグリッド概論
 ・スマートグリッドで何が変わるのか?
 ・スマートグリッドがもたらすビジネスチャンス
第2章 理論から実証へ〜スマートグリッドの新しい技術
第3章 胎動するスマートグリッド・ビジネス
第4章 スマートグリッドが変える世界
第5章 スマートグリッドが実現するサステイナブルな未来

 震災後の日本を再設計する上で、エネルギー、特に電力は大きな問題。今までのような形で原子力を増やしていくわけにはもういかない。そうなると、ITを駆使して電力エネルギーのネットワークを効率的に運用しようとするスマートグリッドのよう新たな技術の開発・導入に真剣に取り組んでいかざるを得ないだろう。で、スマートグリッドが期待される9つの理由として、筆者があげるのは...

1.省エネ
2.信頼性の向上
3.再生可能エネルギーの導入
4.安全性の向上
5.マクロ経済に与える影響の成長戦略
6.コストの削減
7.顧客の選択肢が広がる
8.エネルギー安全保障の観点
9.地球温暖化への対応

 今回のような事態が想定されていたわけではないが、これからやっていかなければならないことと問題意識が重なり合う。現在、ビジネスとして既に立ち上げっているのは次の3分野だという。

1.スマートメーター(AMI=Advanced Metering Infrastructure)
2.電力会社の基幹システム、顧客管理システムとのデータの統合
3.ホームエリアネットワーク(HAN)

 このほか、開発段階のものを含めて、スマートグリッド分野に取り組んでいる具体的な企業名も紹介されている。このあたりの企業がマーケットで成長性を注目されてくるのかもしれない。