福島第一原発事故、外国政府も日本政府に不信感を持っている...

 福島第一原発事故への対応。天災もあるが、人災もあるのではないか、という疑いの念が消えないのだが、これは外国政府も同じらしい。そうした声が出てくるのも、こんなことがあるから...

福島第一原子力発電所の事故後の経過を注視するロシアで、東京電力と日本政府の対応のまずさを指摘する「人災説」が強まっている。16日付の有力紙「イズベスチヤ」は、国営原子力企業「ロスアトム」専門家の見方として、「事故直後、(東京電力は)放射性ガスを大気中に放出してでも、即座に原子炉を水で浸さねばならなかった。最悪の事態を避けられると期待し、対応が遅れた」と伝えた。露独占事業研究所の研究員は、「2004年のスマトラ島沖地震など強大な地震が起きたのに、事業者は、原子炉だけでなく冷却装置など関連施設の強化を怠った」と地元紙に述べた。

 チェルノブイリの経験を持った人の入国を差し止めるか。日本人はチェルノブイリ事故を起こしたロシア人とは違うんだという傲慢がどこかにあるんだろうか。傲慢こそ最も危険なのに。米国は以下のように自分たちで放射線量を調べると...

アメリカのルース駐日大使は16日、都内で記者会見し、福島第一原子力発電所で起きている深刻な事態を受けて、アメリカとして独自に放射線の量の測定を始めることを明らかにしました。この中でルース駐日大使は「地上と上空で放射線の量を測る検知器や測定データを処理するコンピューターシステムなどの装備、それに、この装備の専門家34人が昨夜、日本に到着した」と述べ、アメリカとして独自に放射線の量の測定を始めることを明らかにしました。ルース大使は「こうした装備を日本に持ち込んだ理由は、危険な状態が続くなかで、日本への支援にもなるほか、日本に住むアメリカ人の安全を守ることが、われわれの最大の関心事だからだ。日本が測定したデータを信用していないという理由ではない」と述べました。

 「データを信用していない理由ではない」と言ってくれてはいるものの、その前に「日本に住むアメリカ人の安全を守ることが、われわれの最大の関心事だからだ」。一緒に日本人の安全も守ってくださいと、日本政府ではなくて、米国政府に頼むべきなんだろうか。まあ、今回の震災・津波を見ても、奮闘が目立つのは知事・市町村長など自治体の長で、国のリーダーたちは...。
 ともあれ、日本政府は信用されていなくて、大使館まで逃げ出そうとしている。

福島第1原発での放射能漏れ事故を受け16日、日本在住外国人に退避の動きが広がった。チェルノブイリ原発事故以来の衝撃を世界に与えている。在日フランス大使館は16日、声明を出し、日本在住フランス人に対し、東京にとどまる必要のない場合「直ちに帰国あるいは日本の南部に避難するよう」勧告した。フィヨン首相が15日に国民議会(下院)で行った答弁を受けたもので、希望者の帰国の便を図るため、エール・フランス機2機が日本に向かった。トルコ外務省も16日、声明を出し「不要不急の日本渡航の延期を勧告する」と発表した。メキシコも帰国支援のためチャーター便を検討、帰国便の費用負担にも応じる方針だ。

 で、他の国も...

福島第一原子力発電所で深刻な事態が続いていることを受けて、イラクなどが、日本にある大使館を一時閉鎖するなど、外国政府が退避行動をとり始めていますが、外務省は、正確な情報を本国に伝えるよう申し入れるなど、冷静な対応を呼びかけています。福島第一原子力発電所で深刻な事態が続いていることを受けて、外国政府の間では、日本に滞在する自国民に避難を呼びかけたり、日本への渡航を控える情報を出したりするなどの動きが続いています。こうしたなか、イラクバーレーンアンゴラの各政府から外務省に対し、日本にある大使館を一時閉鎖するという正式な文書が16日までに届き、すでに移転を始めているということです。また、外務省が確認したところ、パナマが神戸市に大使館の機能を移したほか、オーストリアも、大使や職員を京都市に移動させたということです。

 まるで信用されていない。日本人だけではなくて、在留外国人、それも大使館までパニックになっている。情報が信用できないから。
ボランティアだって...

ドイツでは、福島第一原発の爆発や火災などに関する日本政府の対応について、不信感を強調する報道が目立っている。被災地で救援活動を行っていた民間団体「フメディカ」の救援チーム5人は14日、急きょ帰国した。同機関の広報担当者シュテフェン・リヒター氏は地元メディアに対し、「日本政府は事実を隠蔽し、過小評価している。チェルノブイリ原発事故)を思い出させる」と早期帰国の理由を語った。

 まさにクレディビリティ・クライシス。日本人が政府を信用しないだけでなく(というか、日本人が政府を信用しないからかもしれないが)、外国政府も日本を信用しない。略奪も暴動も起きない被災地の市民が賞賛される一方で、政府と東電は日本社会と国家の信用を破壊しようとしている。このままでは国家溶融、日本文明の崩壊になりかねない。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

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